契約の前
契約の日に起きること
どの約束が法律のもので、どの約束が契約のものか。そして適用されない 2 つの保護。
· Icy(moogo/081株式会社 代表取締役)
要点
契約が結ばれる前に、宅地建物取引士が重要事項説明書を交付して、あなたに説明します。始めるときには取引士証を提示します。
売買のこの説明は 2021 年からオンラインでも行えます。書面そのものも、記録に残る承諾があれば 2022 年から電磁的に提供できます。
契約を結んだあと、宅建業者はもう 1 通、取引の条件を記した書面を遅滞なく交付します。
手付の 2 割上限とクーリングオフ。半分だけ記憶されがちなこの 2 つの保護は、個人があなたに家を売る場合にはまったく適用されません。
決済当日の段取りは、あなたの契約とその周りの取り決めから来るもので、条文から来るものではありません。登記識別情報は登記が完了したあとに届き、その部屋では受け取りません。
この記事が書いていることの大半は、誰かが法律上あなたに負っている義務です。だからこそ、そうでないものがどれかを知る値打ちがあります。
日本の契約の日は、その大半が読む時間です。読むものは日本語です。書面の中身は法律が定め、誰がいつあなたに説明するのかも、法律が具体的に決めています。
その具体性は、あなたの味方です。
同時に、そこには境界があります。買い手が損をするのは、中心よりも境界のほうです。
署名の前に来る説明
宅地建物取引業法が決めている順序は、説明が先で、契約が後です。
契約が成立するまでの間に、宅建業者は宅地建物取引士をして、書面で、対面またはオンラインで、あなたに重要事項説明をさせなければなりません。中身は、その不動産とその取引に及びます。土地と建物に登記された権利、法令上の制限、飲用水、電気、ガスの供給の状況、代金以外に授受されるすべての金銭、契約の解除に関する事項、損害賠償額の予定や違約金に関する事項。ほかにも法定の項目が並びます。
説明を始めるとき、取引士は取引士証を提示します。直近の建物状況調査があれば、その結果の概要も説明の一部になります。
この手続きは 2 度、今の形に近づきました。中身そのものは変わっていません。2021 年 3 月から、売買のこの説明そのものをテレビ会議等で行えるようになりました。2022 年 5 月から、書面を紙ではなく電磁的方法で提供できるようになりました。ただし承諾が記録に残り、あなたが保存して出力できる形で届くことが条件です。
この 2 つは別の制度で、時期も別です。人づてに聞いた説明では、しばしば 1 つに混同されています。
この説明は、買い手であるあなたに向けられています。法律は売主のために同じ場を用意していません。この 1 時間が誰のための保護なのかは、そこから分かります。
ここは腰を据えて聞いてください。
分かっていて重要なことをすべてあなたの前に出すよう、法律が筋書きを決めた唯一の場面です。moogo の取引では、日本語の書面と並べて、あなたの言語で説明します。
署名のあとの書面と、ほとんど適用されない 2 つの保護
契約が成立すると、2 通目の法定書面が遅滞なく続きます。当事者、物件、代金と支払の時期と方法、引渡しの時期、移転登記の申請の時期。加えて実際に定めたすべての事項です。手付金などの金銭とその目的、解除、損害賠償額の予定や違約金、ローンが不成立だったときの措置、危険の負担、契約の内容に適合しない場合の責任、税や公課の負担。
取引の骨格を法定の形で記した書面で、ここにも取引士の名前が入ります。
さて、その境界にある 2 つの話です。
よく引かれる手付の上限、代金の 10 分の 2 を超えないという規則は、自ら売主となる宅建業者だけを縛ります。個人が仲介を通じてあなたに町家を売る場合、この上限はかかりません。代わりに民法が働きます。上限はなく、契約で原則を変えることもできます。
その原則自体を知っておく値打ちがあります。手付は通常、買主は手付を放棄して、売主は倍額を返して、契約を解除できます。ただしどちらも、相手方が履行に着手するまでです。
クーリングオフはもっと狭い制度です。自ら売主となる宅建業者から買い、かつ申込みをその事務所等以外の場所で行った場合に存在し、個人どうしの取引では働きません。このシリーズが描いてきた典型的な中古の購入に、クーリングオフはありません。あることを黙って前提にした計画には、穴が空いています。
決済の日、正直に
このシリーズは、法律と実務の境目を厳しく分けてきました。決済の日は、その境目がいちばんお金に近づく日です。
法律が固定しているのは枠です。
双方が互いに債務を負う契約では、民法により、相手が履行の提供をするまで自分の履行を拒めます。あなたの残代金と売主の引渡しをこの一対として読むのは解説での整理であって、条文そのものの言葉ではありません。
売主があなたに負うのは鍵だけではありません。対抗要件を備えた権利、つまりあなたの所有権を第三者にも主張できるようにする登記です。そして移転登記の申請の時期については、法律が定めているのは「契約書面に記載すること」であって、時期そのものではありません。
法律が固定していないのは、その日の段取りです。
誰がどこに座るか、送金と確認と引渡しをどの順序で行うか、銀行の店舗と司法書士の机のどちらで行うか、そのすべてが個別の取り決めです。段取りを定めた公的な文書は見つかりませんでした。ですからこの記事は、そんな文書があるふりをしません。司法書士は、あなたの側が通常依頼する登記の専門家です。実務では、資金が動く前に本人と書類を確認するのが司法書士です。依頼するかどうかは選択であって、法律上の要件ではありません。そして、ほとんどの人が理由をもって選ぶ選択でもあります。
先に直しておきたい期待が 1 つあります。
かつての紙の権利証に代わる登記識別情報は、登記が完了したあとに通知され、そのあとであなたに届きます。新しい権利の証をその部屋から持って出る人はいません。そうでないと約束する売主は、まだ存在しない書類の話をしています。
あなたのファイルに残るもの
終わってみると、あなたの名前の入った法定の書面が 3 通あります。契約前に説明された重要事項説明書、契約後に交付された条件の書面、そして登記の完了後に届く、かつての権利証に代わる登記識別情報通知です。この 3 通を、このシリーズが集めてきた調査と税の書類と一緒に保管してください。買うときに組み上げたファイルが、いずれ売るときにすべての問いに答えるファイルになります。
海外にいる買い手にとって、この日は海外から買う記事が扱ったすべてとつながります。住所証明の連鎖も、納税管理人の届出も、報告の時計も、すべてここで決まった日付を起点にします。契約が日付を決めます。その日付が何を動かすのかを書いたのが、あの記事です。
よくある質問
重要事項説明書に英語版はありますか。 法律が定めているのは書面であって、その言語ではありません。実務は日本語です。翻訳とあなたの言語での説明は、仲介会社が手配するサービスです。moogo では、オプションではなく取引の一部です。
渡航せずにここまで済ませられますか。 売買の説明はオンラインで行えますし、書面は承諾があれば電磁的に提供できます。代理人による署名も、海外から買う記事で扱った確立した実務です。残っているのは決済そのもので、これは個別の取り決めになります。
売主が一方的にやめたらどうなりますか。 通常の手付の規則では、あなたが履行に着手する前に離れる売主は、手付の倍額を返します。契約でより厳しい定めや別の定めを置くこともできます。あなたの取引にどの規則が当てはまるのかは、条件の書面に書いてあります。だからあれは、しまうものではなく読むものです。
取引の途中、手付金は守られますか。 自ら売主となる宅建業者の場合、一定の額を超えると法定の保全措置があり、その概要は重要事項説明の記載事項です。個人どうしの取引に対応する制度はなく、手付金の安全は契約と、誰がその金銭を保管するかに委ねられます。支払う前に決めておく論点です。
売主が本当に所有者かは誰が確かめますか。 登記された権利は、重要事項説明のいちばん最初の項目です。実務では、あなたが依頼した司法書士が決済の前に本人と権利の書類を再確認します。答えは二重になっていて、司法書士の報酬に見合う理由もそこにあります。
契約の日が報いるのは、どの約束が法律のもので、どの約束が契約のものかを知っている買い手です。
法律の側は固定されていて、日本のどこでも同じです。契約の側はあなたのもので、署名の前に読むべきものです。
具体的な取引をあなたの言語でこの順序に沿って進めるなら、探している条件を moogo にお伝えください。
本記事は 2026 年 8 月 25 日時点の公表された法令・官公庁資料に基づいています。制度は変わります。081株式会社は宅地建物取引業者であり、税理士事務所でも行政書士事務所でもありません。一般的な説明であって、個別の事案についての税務・法律上の助言ではありません。個別の判断は、所管の官公庁と専門家にご確認ください。
