物件を選ぶ前
安い物件情報が書いていない部分
空き家 900 万戸は見出しです。値引きは繰り延べられた情報で、払う前に読めます。
· Icy(moogo/081株式会社 代表取締役)
要点
日本の空き家は約 900 万戸ですが、賃貸用・売却用として市場に出ているもの、そして使うために持たれている二次的住宅を除くと、話題にされている層は 400 万戸を切ります。
空き家バンクは市町村の掲示板で、全国分を 2 社の民間ポータルが集約しています。掲載はしても取引には入らず、宅建業者がついているかどうかは自治体ごとに違います。
今の法規に合わない家が、そのことで違法になるわけではありません。当時は適法に建った既存不適格であり、この違いがその家で何ができるかを決めます。
1999 年以前に完成した家は、検査済証を受け取っていないほうが多数です。これはまず書類の問題で、建物の問題はその次です。
日本の売買で検査は義務ではありません。法律が義務づけたのは宅建業者の書面で、あっせんの有無、直近の調査の有無とその概要、双方が確認した事項です。
安い家が安いのは、たいてい贈り物だからではありません。値引きはその家についての情報で、あなたが見つける前にすでに価格へ織り込まれています。
「空き家」という言葉は、奇妙な道のりをたどってきました。住宅政策の頭痛の種から、買い物のカテゴリーへ。
家は実在しますし、買う価値のあるものもあります。物件情報が書いていないのは、円で表示されていないほうの価格です。この記事は、それを払う前に読む話です。
層は見出しより小さい
900 万戸という数字のもとになった全国の住宅統計は、内訳も出しています。役に立つのは内訳のほうです。すでに賃貸と売却の市場に出ているもの、意図して持たれている二次的住宅を除くと、残りは約 385 万戸、住宅総数の 6% を切ります。「空き家」という言葉が呼び起こすのは、この小さいほうの層です。京都市は全国の流れと逆で、5 年前より空き家が減っています。
その家がどこに出てくるかは、何戸あるかと同じくらいものを言います。
空き家バンクは、あくまで掲示板です。何を載せるかは市町村が認め、全国の窓口は 2 社の民間ポータルがそれぞれ独立して運営し、国のQ&Aは 2 社が取引に介在しないと明記しています。掲載の後ろに宅建業者がいるかどうかは自治体で分かれます。媒介契約を掲載の条件にしている町もあれば、所有者の連絡先を載せたうえで、交渉にも契約にもトラブルにも関与しないと明記している町もあります。
後者は、ゆっくり読む値打ちがあります。
仲介がいないということは、法定の説明書面がなく、言われなかったことに責任を負う専門家もおらず、値段は素人どうしで決まるということです。しかも片方は、その家の不具合と何年も暮らしてきた人です。それでも良い買い物になりえます。ただ、安全装置を外した買い物であり、外れていることは物件情報に書かれていません。
値引きに値段をつける 3 つの言葉
安い物件情報には、短く詰めた独特の言い回しがあります。そのうち 3 つの言葉が、値付けの大半を担っています。
1 つめはこのシリーズですでに扱いました。再建築不可、建て替えられない敷地で、町家の記事にあります。2 つめは既存不適格です。当時の規則のもとで適法に建ち、今の規定には合わず、そのことで違法にはなりません。建築基準法が、規定の施行時にすでにあったものを適用の外に置いているからです。分けるべき相手は本当の違反建築、建てたときに規則を破っていたほうです。写真では見分けがつかず、法律上は別の世界にいます。ただし、この扱いには限りがあります。実質的な増築や建て替えでは現行法が戻ってきます。個別の緩和規定は別にありますが、だからこそ「今建っている」は「また建てられる」を証明しません。
3 つめの言葉は、欠けているものです。検査済証は完了検査に通ったときに交付される証明で、1999 年以前に完成した家では、国土交通省自身の記載で半数以上が受け取っていません。ないことが違法を意味するわけではなく、再交付もできません。空白を埋めるのは、何が確認されたかを示す市町村の建築台帳の証明であり、必要なら実際に何が建ったかを見る専門家の調査です。金融機関がこの空白をどう読むかは、銀行ごとに違います。
もう 1 つ、日付があります。日本の耐震の規定は、1981 年 6 月 1 日以降に建築確認を受けた建物から変わりました。見るのは確認の日で、完成の日ではありません。だから 1982 年完成の家が旧耐震ということもありえます。完成年しか書いていない物件情報では、この問いは開いたままで、答えは同じ市町村の記録から出てきます。
誰にも義務のない検査
日本は 2018 年に検査を義務化した、という話がよく流れています。していません。そして、実際に定められた中身のほうが役に立ちます。
法律が実際にしたのは、宅建業者に 3 つの義務を置くことでした。媒介契約では、建物状況調査のあっせんをするかどうかを記します。重要事項説明では、直近の調査があるかどうか、あればその結果の概要を説明します。契約書面では、建物の状況について双方が確認した事項を記載します。調査そのものは任意で、国の登録を受けた講習を修了した建築士が行い、誰も依頼を強制されません。
この 3 つを、この記事に出てくる家に当てて読むと、制度の狙いが見えてきます。古い家を買う人が調査を求める正式な場面があり、その結果を報告しなければならない正式な場所があり、何が確認され何が確認されなかったかの正式な記録が残ります。3 つの義務は、そのために置かれています。検査号証がなく法規上の位置も分からない安い家では、この仕組みが、手に入るなかでいちばん安い専門家の目になります。そして取引に仲介がいるときにしか働かず、話は上の空き家バンクへ戻ります。
この仕組みを使ってください。まさにこの買い物のために作られています。
日々の勘定、正直に
安い空き家を持つこと自体は、本当に安上がりです。全国の所有者調査では、約半数が税込みで年 5 万円未満です。効いてくるのは、日々の費用ではありません。
効いてくるのは、一度きりの出口のほうです。検査済証がなく法規上の位置も分からない建物の改修は、実際に何があるのかを調べる費用から始まります。税額を小さく保っている土地の軽減は、放置にはある程度耐えますが、市町村が正式な勧告を出した時点までです。仕組みは保有コストの記事にあります。入口の側にも、報酬告示の特例が 800 万円以下の物件に適用されます。仲介報酬は片側 33 万円まで認められ、それより安い価格帯では速算式が出す額を上回ります。安い家は安く取引できない、という前提を規則が認めているわけです。
以上は、買うなという話ではありません。この種の家のいくつかは、町家を含めて、きちんと記録した買い手にこそ報います。言いたいのは、値引きは繰り延べられた情報だということです。安い家の売買価格は費用のうち分かっている部分で、この記事に出てきた書類は、残りをお金が動く前に分かる形にする方法です。
moogo が売りに出している家は、価格帯を問わずこれらの書類が付いています。moogo の販売物件 にあります。
よくある質問
空き家はただ同然ですか。 名目的な価格で出す市町村はあり、たいてい条件が付きます。居住や改修が条件になることもあります。いずれにせよ売買価格はこのファイルでいちばん小さい数字で、調査と手続と工事が大きいほうです。
既存不適格の家は買っても大丈夫ですか。 買うことも持つことも適法です。問いはあなたが何をするつもりかにあります。実質的な工事や建て替えでは現行法が戻ってきますし、旧耐震の構造はいずれにせよ一度診断する価値があります。法律上の位置と物理的な状態は、別のファイルです。
検査済証がないと書いてあります。やめるべきですか。 すぐにやめる話ではありません。1999 年以前に完成した家では、それが多数派の状態です。建築台帳の証明を取り、専門家の調査を予算に入れ、金融機関がその空白をどう読むかを早めに聞いてください。離れるべきなのは空白を説明できない売主で、空白そのものではありません。
海外から空き家バンクで買えますか。 ポータルはどこからでも検索できます。実際の問いは取引に仲介がいるかどうかです。このシリーズが扱ってきた説明も書類も、すべて仲介を通って起きるからです。所有者の連絡先だけを載せて自らは関与しないと述べる市町村では、その保護をあなた自身が組み立てることになります。
こんなに安い家なのに、なぜ仲介報酬が高いのですか。 報酬の規則がそれを認めるように変わったからです。800 万円以下の物件で片側 33 万円まで。安い古家を調査して記録する手間は、高い家より少なくはない、という理屈です。この報酬には事前のあなたの合意が要り、買っているのはまさに、この記事がこの種の家に必要だと言っている仕事です。
安い家とは、答えの出ていない問いの束に屋根が載ったものです。購入の前に答えれば、そのうちのいくつかは日本でいちばん割のいい買い物になります。飛ばせば、値引きははじめから値引きではありませんでした。見つけた物件情報をきちんと読んでほしいときは、moogo にお知らせください。
本記事は 2026 年 8 月 25 日時点の公表された法令・官公庁資料に基づいています。制度は変わります。081株式会社は宅地建物取引業者であり、税理士事務所でも行政書士事務所でもありません。一般的な説明であって、個別の事案についての税務・法律上の助言ではありません。個別の判断は、所管の官公庁と専門家にご確認ください。
